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生命現象をモチーフにしたインタラクティブ・アート作品
「UNITY of MOTION」公開
この度、ワウの新作オリジナルアート作品「UNITY of MOTION (ユニティ・オブ・モーション)」がHyundai Motorstudio Seoul (韓国ソウル市内) にて公開となりました。体験者の鼓動をセンシングし、人工生命プログラムにより生成された映像が建物内外の巨大モニター3台 (建物内モニター: 約9.7m x 3.4m、造作モニター: 約 8.2m x 1.2m、建物外観のモニター: 約 22m x 3.4m) に表示されます。
UNITY of MOTIONとは
本作品では、運動するものは全て生命を持つものとみなし、自然と機械が融合するさまを表現することで、運動により生物と無生物の境界について再考する機会を投げかけることを目指しています。
昨今では生体データを検知する各種のセンサーが容易に入手、使用できるようになり、様々なインタラクティブ・アート作品に使用されるようになりました。ボタンやキーを押すなどの能動的な動作は自分の操作により作品とのコミュニケーションを可能にしますが、心拍や生体電位など人間の生命維持活動から発生するデータを直接取り込み作品に反映させることは、自分自身が作品の一部になっているかのような感覚を体験者に与えることができます。
UNITY of MOTIONでは、Boids (ボイド) という人工生命プログラムを利用し、生命体群のようなCGアニメーションを生成します。それを駆動するのは、体験者の心拍データになります。機械と生命体群という一見異なる運動を、人間の心臓の鼓動によって揺さぶり、それらを仮想空間の中で融合させることで、新しい生命環境を提示する本作品は、HEART、NATURE、MACHINEの3つの装置で構成されます。
- HEART (Sensor Sculpture)
赤外線で人の手の平から心拍データを検出するセンサー。造型のトップ部分には、クルマの心臓であるエンジンのピストンに、HYUNDAI車に実際に搭載しているものを使用。このセンサー・スカルプチャーを起点として、UNITY of MOTIONが駆動。
- NATURE (Media Wall 1: 約 9.7m x 3.4m)
コンピューター・シミュレーションによって自然界に存在する生命体群の運動をビジュアライズする巨大モニター。 HEARTが心拍データを検知すると、鳥などの生命の群れのような動きが展開される。この動きはBoids (ボイド) という人工生命シミュレーション・プログラムによって生成されており、各個体は簡単なルールに従って動くよう設計されているにも関わらず、総体としては複雑な振る舞いを見せる。
- Machine (Media Wall 2: 約 8.2m x 1.2m)
V字形に配置されたモニターであり、機械運動を象徴。スタンバイ・モードでは、エンジン・ピストンの動きにも含まれる円運動と密接な関係がある三角関数 (Sin、Cos) を表示。MACHINEもNATUREと同じくHEARTと接続されており、HEARTが人間の鼓動を検知するとサイン波とコサイン波は規則的周期運動を離れて生命を宿し、鳥や蝶などの生命体へと変容し、群となって目まぐるしく躍動する。
本作品では、人間の心臓の鼓動という情報がHEARTというインターフェイスを通じ、NATUREとMACHINEに生命を吹き込みます。UNITY of MOTIONは、運動それ自体に生命を見出すという観点に基づき、運動によって自然と機械を融合させ、新しい運動体へと導き、運動体は最終的には無へと帰っていきます。この一連のサイクルは、毎回全く異なる様相を見せ、毎回個別の生と死の物語を紡ぎます。
Boids (ボイド) とは
1986年にCraig Reynolds (クレイグ・レイノルズ) が発表した人工生命プログラム。Boids (ボイド) とはbird-oid objectsを短縮した語。本作でNATUREに表示される群体運動は、このプログラムによって生成されています。このプログラムでは、群れを構成する個体が、近傍にいる個体との関係に対して以下の3つのルールを適用し、自己の運動の方向と速度を決定します。
- Separation : 近づき過ぎたらぶつからないように離れる
- Alignment : 同じ方向にあまり距離を開けないように飛ぶ
- Cohesion : 群れの重心 (中心) 方向に向かって飛ぶ
鳥や魚の群れは、一見するとカオス的にも秩序的にもなり、極めて複雑な振る舞いを見せます。Boids (ボイド) の単純なルールの組み合わせにより、この動きをうまく表現する事を可能にしています。
HYUNDAI MOTORSTUDIOとは
限界や枠組みを超え、数々のチャレンジをし続けているアーティスト達の様々なプロジェクトを支援し発信するHyundai Motorのプラットフォーム。カンナムエリアのランドマークとなったHyundai Motorstudio Seoulは、選び抜かれたアーティストがHyundaiの革新的なプロジェクトを発信する重要な場となっており、現代アートの発展に世界的に重要な役割を担ったアーティスト達へショーケースの機会と場を提供している。
Hyundai Motorstudio Seoulでは、過去には、United Visual Artist, Universal Everythingといった国際的に活躍しているアーティスト達の作品を展示しており、今回WOWは初の日本人アーティストとして参加。Hyundai Motorstudioのアートプロジェクトは、ロンドンのテイト美術館やソウルのMMCAといった美術館とも長期的なパートナーシップを組み、アート支援に力を入れている。
▶Hyundai Motorstudio (英語)
会期:2016年4月末まで (予定)
開館時間:09:00~21:00
住所:HYUNDAI MOTORSTUDIO SEOUL,738 Eonju-ro, Gangnam-gu, Seoul